3年後離婚するはずが、敏腕ドクターの切愛には抗えない
 え? なにこれ。どうして急に理人さんってば甘やかしモードに入っているの?

 困惑するものの、理人さんは私に食べさせるまで引かなそう。恥ずかしいけれど、覚悟を決めるしかない。

「えっと、じゃあ……」

 口を開けて食べさせてもらう。すると理人さんは満足そうに笑った。

「はい、もう一口」

「……はい」

 結局全部食べさせてもらったけれど、緊張と恥ずかしさで食べた気がしなかった。

「よかった、食べられて」

 そう言うと理人さんはナースコールを押した。少しして看護師がやって来ると、バイタルを測定してくれた。
 その後、空になった食器を持って看護師は病室から出ていった。

「じゃあそろそろ寝ようか」

「寝るって……?」

 私が小首を傾げる中、理人さんはソファの背もたれを倒して簡易のベッドを作り始めた。

「野々花が入院中、俺もここで寝泊まりするから」

 まさかの話にギョッとなる。

「ちょ、ちょっと待ってください。本気ですか!?」

「あぁ。そのために個室にしてもらったんだ」
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