3年後離婚するはずが、敏腕ドクターの切愛には抗えない
 それじゃ私が退院するまで、ここでずっと夜はふたりっきりで過ごすってこと? 家でも一緒に寝たことないのに?

 パニックになる中、自分の寝床を作ると理人さんはクッションなどを退かしてリクライングを倒してくれた。

「今日、警察が来てすべて聞いたんだろ? それなのにひとりになんてさせられない」

「理人さん……」

 苦しそうに顔を歪ませた彼に、私もつらい気持ちでいっぱいになる。

 あの日、私はたしかに誰かに押されて事故に遭った。交差点で信号待ちをしている人はたくさんいて、目撃者も大勢いたようですぐに犯人は取り押さえられたようだ。

 警察の人は事件の裏付けに私の証言をとりに来た。

 車が来るタイミングで背中を押して、私を殺そうとしたのは渡部さんだったのだ。前日の夜にお義父さんから理人さんとの結婚話はなかったことにしてほしい、さらにアメリカに戻ってはどうかと連絡があり、お義母さんからも理人さんとの結婚を応援できなくなったと言われたらしい。
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