３年後離婚するはずが、敏腕ドクターの切愛には抗えない

「――え」

　意味深な言葉にドキッとする私の髪を、理人さんは優しく撫でた。

「俺にとって帰る場所は、野々花のいるところだから」

　優しい眼差しで私を見つめながら囁かれた甘い言葉に、身体中が熱くなる。

「この前はごめん。……鈴木と一緒にいる時の野々花があまりに楽しそうで、俺には向けてくれない笑顔で話していたから嫉妬してあんなことをしてしまったんだ」

　唇を噛みしめて理人さんは続けた。

「嫉妬する前に、好きだと伝えるべきなのに順番が逆になってしまった。本当に悪かった。だから今、改めて言わせてほしい」

　そう言うと理人さんは膝をついて私の手を握った。手を伝って私の胸の鼓動の速さが伝わってしまいそうで怖い。ドキドキして苦しくなる。

「始まりは三年後に離婚する約束の契約結婚だったけど、野々花と一緒に過ごすようになって、野々花の優しさや芯の強さに惹かれた。これから先の長い人生を、野々花とともに歩んでいきたいんだ」

「理人さん……」

　これは夢？　もしかして私、気づかないうちに寝てしまっているんじゃないの？　そう思うくらい幸せな展開に頭が追いつかない。

「でも俺たちはまだ出会って間もないし、お互い知らないことがたくさんある。この前のように意見が口違い、喧嘩することもあるかもしれない。そうやって少しずつ理解し合いながら本物の夫婦になり、俺と一緒に生きてほしい」