３年後離婚するはずが、敏腕ドクターの切愛には抗えない

「理人さんと契約を交わした時は、好きにならないと約束をしたのに無理でした。いつも私に寄り添ってくれて、力になってくれて……。真面目で優しいところも、私が作ったご飯を美味しいと言って食べてくれたことも、全部が嬉しくて好きでどうしようもないんです」

　落ち着かせるように小さく深呼吸をして、私の涙を拭う理人さんの手に触れた。

「私も理人さんのことが大好きです。これから本当の夫婦になって、たくさん楽しい時間を過ごしていきたい。つらい時も悲しい時もずっと一緒にいたいんです。……私を理人さんの本物の奥さんにしてください」

　伝えたいことをすべて伝えることができて、自然と笑みが零れる。それにつられるように理人さんも目を細めた。

「もちろんだよ。俺も野々花の本物の夫にしてくれ」

　ゆっくりと抱きしめられ、私は彼の背中に腕を回した。

　私、理人さんと両想いになれたんだ。これからはずっと一緒にいられるんだよね。

　彼のぬくもりに包まれて、じわじわと実感できる。

　どれくらいの時間、お互いのぬくもりをたしかめ合っただろうか。

「なぁ、野々花。鈴木には抱きしめられただけ？　それ以上のことはされていない」

「はい」

「そっか。よかった」

　心から安堵した声で言うと、理人さんは私の顔を覗き込んだ。