3年後離婚するはずが、敏腕ドクターの切愛には抗えない
 至近距離で見つめられて恥ずかしいのに、理人さんから目を逸らせなくなる。

「この前のキス、やり直してもいい?」

「え……ここで、ですか?」

 個室とはいえ、ここは病院だ。誰か入ってくる可能性もある。

「あぁ。俺はもう勤務時間を終えているし、なにも問題ないだろ?」

「いや、でも……」

 まだ両想いになれたというだけでいっぱいいっぱいなのに、さらにキスまでしたら私の心臓が壊れそう。
 やんわりと距離を取るものの、すぐにまた距離を縮めて理人さんは私を見つめる。

「ごめん、我慢できそうにない」

「あっ……んっ」

 理人さんの端正な顔が視界いっぱいに広がった瞬間、唇に触れた温あたたかな感触。すぐに唇は離れ、理人さんは愛しそうに私の頬を撫でた。

「可愛いな、野々花は」

「……っ」

 初めて言われた〝可愛い〟の言葉に、身体中が熱くなる。そんな私を見て理人さんは再びキスを落とした。触れるだけのキスから次第に深い口づけへと変わっていく。
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