3年後離婚するはずが、敏腕ドクターの切愛には抗えない
「今になって後悔している?」

 図星を突かれてドキッとしてしまう。いや、正確には違う。

「おばあちゃんは喜んでくれていましたし、後悔まではいきませんけど……胸は痛んでいます」

 正直な気持ちを打ち明けたら、理人さんは「俺もだ」と言った。

「こうすることが一番の解決策だと信じて疑わなかったが、野々花のおばあちゃんやじいちゃんの喜ぶ顔を見たら、本当にこれが正解だったのかと疑ってしまったよ」

 やっぱり理人さんも同じことを考えていたんだね。

「だが、今さら後戻りなどできないし、嘘をついてしまった以上、俺は最後まで嘘をつき通すつもりだ。……もし、野々花にその覚悟がないならまだ間に合う。結婚の話はなかったことにしてもいい」

 理人さんとの契約結婚をなかったことに? 祖母をあんなに喜ばせた後にそんなことできる?

 そもそも最初から予想できていたことだ。私も覚悟を決めるべきだ。理人さんの言う通り、最後まで嘘をつき通すべきだ。

「すみません、変なこと言って。大丈夫です、覚悟はできています」
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