３年後離婚するはずが、敏腕ドクターの切愛には抗えない
　高級レストランの窓側の夜景が見える席でプロポーズなんて、最高にロマンチックだ。切り出し方はイマイチでも、大切なのは言葉だ。
　気になってつい聞き耳を立てた。

「あぁ、キミさえよければ結婚しよう」

「ぜひ！」

　目を輝かせて食い気味に言う女性に対し、男性は淡々と続けた。

「それならよかった。では結婚したらキミの生活のすべてと自由を保障しよう。俺の金もいくらでも使ってくれてかまわない。三年間俺と夫婦でいてくれさえすれば、離婚したっていい。その際は慰謝料も渡す。その代わり、絶対に俺に愛を求めないでくれ」

　な、なにそのプロポーズは……！　結婚しようと言っているくせに三年間の期限付きで、愛を求めるな？

　信じられない言葉に呆気に取られてしまう。それは言われた女性も同じようで、ポカンとしちゃっている。

「そうと決まれば、お互いの家族に挨拶に行こうか。できればオペのない来週の水曜日に行きたいんだが、都合はどうだ？」

　まるで業務連絡かのような話し口調に女性も我に返ったのか、怒りで身体を震わせた。

「なに言っているんですか？　そんなふざけた結婚、するわけがないでしょ!?」

　女性の言い分は最もだ。好きな人からそんな結婚を提案されたって喜んで受け入れるわけがない。しかし男性は意味がわからないと言うように首を傾げた。
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