3年後離婚するはずが、敏腕ドクターの切愛には抗えない
 結婚前はとにかく仲が良いことをアピールするために、やたら理人さんが近づいてきた。でも結婚してからというもの、私たちの関係は周知の事実となり、結婚に向けて仕事をセーブしていた理人さんに対するオペも集中し、彼は以前にも増して多忙となった。

 それもあって、私たちは夫婦らしい時間を過ごしていない。もちろん病院内では顔を合わせればちゃんと会話はするけれど、ほんの二言、三言だ。

 結婚するにあたって生活に関してはお互い干渉しないと決めた。寝室はもちろん別だし、食事だって別々にとることになっている。

 家事に関しては家政婦が一日置きに来てくれるよう手配してくれたから、家の中は常に綺麗。生活に必要な物は自由に買っていいとカードを渡され、想像以上の好待遇に申し訳なるほどだった。

 もちろんいくら夫婦になったからといって、これは理人さんが稼いだお金だ。言われた通り、生活に必要な物しか購入していない。
 とにかく私は契約とはいえ、なに不自由ない贅沢な暮らしをさせてもらっていた。

「でも、やっぱりこの広い部屋にひとりなのは、最後まで慣れない気がする」
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