3年後離婚するはずが、敏腕ドクターの切愛には抗えない
「どうしてだ? どうせキミも俺の家柄目当てで近づいてきたんだろ? だったら利害が一致していると思うんだが」

「……っ! 最低!! あんたと結婚なんてお断りよ!」

 女性は顔を真っ赤にして立ち上がり、「二度と連絡してこないで」と言って帰っていってしまった。

 いや、当然だよね。私だってあんなプロポーズをされたら別れを選ぶ。だって結婚って愛し合う者同士がするものでしょ?
それなのに愛を求めるな、三年だけ夫婦ならいいって……。

 女性の声は大きくて多くの人に注目される中、男性はというと食事を再開させた。

 ちょっと待って、嘘でしょ? ここで食事を続けちゃうの?

 目を白黒させる中、男性は深いため息を漏らした。

「また一から結婚相手を探さなければいけないのか。……面倒だな」

 ボソッと囁いた一言は、隣の席だった私の耳にはしっかりと届いた。

 今、面倒って言ったよね? この人にとって結婚っていったいなんだろう。また一からやり直しみたいに言うなんて。
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