３年後離婚するはずが、敏腕ドクターの切愛には抗えない

「ちょっと鈴木君、言い方！」

「なんだよ、二岡だって同じことを思っているからさっき泉に言われても言えなかったんだろ？」

「……っ」

　食べる手を止めて言った鈴木君の声が冷えていて、どこか苛立っているようにも感じる。それに対して奈津希は何も言い返さずに唇を噛みしめた。

　鈴木君の言っていることは正しいのだろう。だから奈津希もなにも反論しないんだ。でもそっか、それで不仲だって噂が流れていたなんて盲点だった。

「ふたりとも、心配してくれてありがとう。だけど大丈夫だから」

　心配かけたくなくて笑顔で言ったものの、奈津希は今にも泣きそうな声で「本当に？」と聞いてきた。

「うん、本当。奈津希だって理人さんが以前から多忙な人だって知っているでしょ？　結婚したからといって自分の患者を放って家に帰るような人だと思う？」

「そう、だよね……高清水先生は第一に患者を大切にするドクターだもの。鈴木君！　所詮、噂は噂でしかないんだよ！」