３年後離婚するはずが、敏腕ドクターの切愛には抗えない

　奈津希の質問に答えた鈴木君は生き生きとしていて、仕事が楽しいんだろうなって気持ちが伝わってくる。

「んー、やっぱこれだけじゃ物足りないな」

あっという間にサンドイッチを食べ終えた鈴木君は、私のお弁当と奈津希の唐揚げ定食をチラッと見る。

「あげないよ？　私、お腹ペコペコだから」

　慌てて唐揚げを頬張る奈津希に鈴木君は「お前、本当に昔から食い意地がはっているよな」と嫌味を言う。

「そうだよ、私は食い意地がはっているからあげないからね」

　開き直ってパクパクと食べ進める奈津希を鈴木君は恨めしそうに睨む。見かねて鈴木君の前にお弁当箱を置いた。

「よかったら好きなおかず食べていいよ」

「え？　いいのか？」

「うん、味は保証できないけどそれでもよければどうぞ」

「サンキュ」

　嬉しそうに言った鈴木君が手に取ったのは、理人さんが好きな紅ショウガ入りの厚焼き玉子だった。それを一口で食べると、目を見開く。

「美味いな、これ」

「ありがとう」

　鈴木君も甘いよりしょっぱい厚焼き玉子が好きなようだ。

「高清水先生が毎日お昼を楽しみにしている理由に納得いくよ」

「えっ？」