3年後離婚するはずが、敏腕ドクターの切愛には抗えない
「鈴木君、今が一番忙しそうだし落ち着いたらご飯でも奢って労ってあげようか」

「そうだね」

 外科が一番忙しいって言っていたし、他の科に移動したタイミングで奈津希と食事に誘ってみよう。

「それにしても高清水先生って意外と愛妻家なんだね」

「え? なに急に」

「だって野々花が作ったお弁当を嬉しそうに食べていたんでしょ? それに最近は早くに家に帰っているっていうし」

 それはただ単に彼の好きなおかずが入っているからだし、生活習慣を見直すと決めたから仕事も無理しないように努めているだけだと思う。

「おかげで前よりは視線を感じたり、コソコソと言われたりすることが減ったんじゃない?」

「……そうかもしれない」

 奈津希の言う通り、なにか言われていると感じたり、見られたりといったことがなくなってきた。

「きっとみんな高清水先生が野々花にべた惚れだから諦めたんだよ。愛されていて羨ましい」

 ニヤニヤして私を見る奈津希に、笑って誤魔化す。

 注目を集めていた時はちょっぴり仕事がやりづらかったから助かるけど、でもこれはこれで困る。だって三年後には離婚予定だし、そうなったらまた噂の的になってしまうだろう。
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