3年後離婚するはずが、敏腕ドクターの切愛には抗えない
 多くのドクターが働く病院内でも、高清水先生を知らない人はいないと思う。事務員の間でも有名人だ。

 後継者ということを抜きにしても彼はなにかと目立っていた。外科の消化器外科専門医として、数多くの難しいオペを成功させていて、そのメス裁きは神がかっていると話題だ。
 彼のオペを学ぶために他の病院からドクターが研修にくるほどだった。

 それに加えて一八五センチの長身で、今も体力づくりのために身体を鍛えているようで逞しい。
 黒色の短髪はいつもきれいにセットされていて清潔感があり、たまに前髪が下ろされた状態で出勤されると、みんな「前髪があるのもカッコいい」と騒ぎ立てるほど。

 羨ましくなるほどのくっきりの二重瞼に、筋の通った高い鼻と形の良い唇。すべてが完璧で、世の男性は誰もが高清水先生のような顔に生まれたかったと思うのではないだろうか。
 彼の虜になっているのは病院スタッフ、患者、出入りする医療品メーカーの営業など実に様々。
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