3年後離婚するはずが、敏腕ドクターの切愛には抗えない
 仕事を終えて帰宅したのは、十八時半を回った頃。帰りにスーパーに寄ったから少し遅くなってしまった。

 理人さんは急患などがなければ、十九時過ぎには帰ってくるから急いで夕食の準備をしないと。
 買ってきたものを冷蔵庫にしまっていると、スマホが鳴った。電話の相手を確認したら祖母からだった。

 どうしたんだろう、こんな時間に電話なんて滅多にかけてこないのに。
 もしかしてなにかあったのかもしれないという不安を抱きながら、電話に出た。

「もしもし」

『ののちゃん? 今、電話大丈夫?』

「うん、大丈夫だよ。なにかあった?」

 電話越しに聞こえてきた声は明るくて、ひとまず胸を撫で下ろす。キッチンから出てリビングのソファに座り、祖母の話に耳を傾けた。

『ううん、なにもないんだけどね、久しぶりにののちゃんの声が聞きたくなったの』

 以前は週に一回は電話で連絡を取り合っていたのに、結婚後は一度も電話をしていなかった。

「ごめん、なかなか連絡ができなくて」

『いいのよ、知らせがないのは元気な証拠だっていうしね。新しい生活を始めたばかりで忙しかったんでしょう? 大丈夫? 身体は壊していない?』

「うん、大丈夫だよ。おばあちゃんこそ元気?」
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