3年後離婚するはずが、敏腕ドクターの切愛には抗えない
「どうしたんですか? 急に」

 そういう顔は心臓に悪いからやめてほしいところ。

「仕事をしながらじゃ大変だろ? それなのにいつも栄養バランスを考えて作ってくれてさ。感謝してもしきれないよ」

 改めて言われると、気恥ずかしくなる。

「そんなことありませんよ。料理は元々好きでしたし、それに理人さんがいつも美味しいって言って食べてくれるから私も嬉しいんです。なので気にしないでください」

 ずっとひとりで食事をすることに味気なさを感じていたけど、一緒に食べてくれるようになって私も感謝しているから。

「そうはいかないよ。契約違反しているし、なにかお礼をさせてほしいんだ」

「お礼ですか?」

「そう。俺が渡したカードもほとんど使っていないだろ? 気にせずなんでも好きなものを買ったらいい」

 好きなものと言われても困ってしまう。

「本当に気にしないでください。食材や必要な物を買っていただくだけで充分です」

 それに近くのスーパーは高級品ばかり取り扱っているから、けっこうな金額を使わせてもらっているのだから。

 しかし理人さんは不満なようで、片眉を上げた。
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