ねこはちさん〜魔法を手にしたネコ〜
だって。
私は。
どの休み時間だって。
毎日の登下校だって。
誰からも誘われないもん。
ひとりきりだもん。
それだけじゃない。
家に帰ったって……。
「……ねこはちさんには、わからないよ」
「何がだよ?」
「私は、このまま家に帰っても、パパもママもお仕事で夜遅くまで帰って来ないし……。みんな、私の事なんか……」
涙は次々に頬を伝っていく。
「……私の事なんか、どうでもいいと思っているんだ……」
言ったあとで、恥ずかしさがこみ上げてきた。
その中には悔しさも混じっている気がする。
こぶしで強引に涙を拭く。
ねこはちさんはしばらく私をじっと見つめていたけれど。
テクテク近寄ってきて。
私の手をぎゅっと握った。
何も言わないで。
ただ、手を握ってくれた。
その事が、何だか嬉しかった。