ねこはちさん〜魔法を手にしたネコ〜
第五話
「寅山、公園に寄っていこうぜ」
涙が落ち着いてきた頃。
ねこはちさんが近所の公園に足を向けた。
「私、学校帰りに寄り道するの、初めて」
いけない事をしている気がして。
ざわつく胸の中だけど。
その中には、ちょっとした好奇心がちゃっかり存在している。
ねこはちさんは、
「そうなの?ま、寄り道しちゃ危ないしな、色々」
と、大人みたいな笑顔を見せた。
公園に着いて。
ねこはちさんはベンチに腰掛けた。
私も隣にそっと座る。
その時。
ベンチの隣のゴミ箱に。
一匹のネコが近寄ってきた。
ねこはちさんと同じ、灰色のブチ模様がある。
ねこはちさんはそのネコを見て、表情が変わった。
ネコはゴミ箱をひっくり返すような勢いで、中のゴミを漁っている。
「にゃあ?」
ねこはちさんがゴミ箱に近寄り、そのネコに話しかけた。
「ニャー、ニャー」
と、ネコも返事をしている。
「にゃあ?」
「ニャー」
二匹のやり取りが終わったらしく、ねこはちさんがベンチに帰って来た。
とても残念そうな表情で。