ねこはちさん〜魔法を手にしたネコ〜
第六話
「ねこはちさん、誰なの?」
と、こっそり聞いてみる。
ねこはちさんは、
「小町さん。オレの母さんだよ。二丁目に住んでいるんだ」
と、短く答えた。
「えっ!?」
ねこはちさんの、お母さん!?
「じゃ、じゃあ、一緒に住んでいるの?」
「いや。オレは小説家のダンナと一緒に住んでるぜ。小町さんとは、たまに会うくらいさ」
そう言ったねこはちさんは淋しそうな表情で、
「小町には、小町さんの生き方があるしな」
と、遠い目をした。
その視線の先には、小町さんがいる。
ふと、何かに気づいた様子でねこはちさんが、
「おい、学校のみんなには内緒だぜ。心配するといけねぇから」
と、少しだけ慌てた。
「でも……」
「オレは大丈夫だ。ネコだからな。気ままに生きてぇよ」
(……でも。ねこはちさん、苦しそうだよ?)
「オレの父さんは、もうこの世にいねぇんだ。ノラネコ同士で小町さんと出会ったらしいけれど、小町さんの目の前で死んじまったらしい」
「えっ!?」