ねこはちさん〜魔法を手にしたネコ〜
第七話
空が赤くなっていきた。
夕日の周りにカラスが飛んでいる。
私達は公園から出てきて、住宅街を歩いていた。
「んー?寅山 朝子……、とらやま あさこ……」
ねこはちさんが思案顔で、私の名前を連呼している。
それから、
「あっ!」
と、小さく叫んで、
「とらこ!!「とら」やまあさ「こ」で、とらこでいいじゃねぇか!」
と、ひとり納得している。
「えー、もっと可愛い呼び名がいい!」
私はほんの少し不満。
そんな私の手をぎゅっと握って。
ねこはちさんは言った。
「いいんだよ、コレで」
大人みたいな表情で。
「強そうだろ?強くなれそうだろ?」
そう言ったねこはちさんが。
知らないネコみたいに見えて。
なんだか淋しい気持ちになった。
「じゃあな、とらこ」
私の手を離して。
ねこはちさんは手を大きく振った。
「うん、またね」
そう言ったけれど、ねこはちさんは笑顔を見せて、何も言わず走って行ってしまった。