ねこはちさん〜魔法を手にしたネコ〜
第八話
学校の帰り。
私はドギマギしながら。
二丁目の、あの家を目指して歩いていた。
(小町さんに、知らせなくちゃ)
なぜだか、強くそう思った。
ねこはちさんが、もしかして帰って来ないんじゃないかって。
何か危険が迫ってるんじゃないかって。
不安で仕方がなかった。
小町さんに知らせたら。
きっと何か、良い方向に向かう気がしたんだ。
自分を。
家族を。
守るために、生き方を変えた小町さんだから。
今度だって……。
あの家の前まで来た。
窓辺に。
右耳に灰色のブチ模様の美しいネコ。
(小町さんだ)
「小町さん、あのっ……」
庭を挟んだ家の外から声をかけたって、聞こえるはずなんてないけれど。
呼びかけずにはいられなかった。
「小町さんっ!」
小町さんは、じっと私を見つめている。
それからニャーニャーと、鳴き始めた。