ねこはちさん〜魔法を手にしたネコ〜
邪魔しちゃ悪いと思って。
そっと、その場を離れようとしたら。
「……とらこ?」
涙声で、ねこはちさんが声をかけてきた。
目にはいっぱいの涙。
そんなねこはちさんを、抱きしめたいと思った。
だけど。
しゃがんだ私を抱きしめてくれたのは、ねこはちさんで。
「ただいま、とらこ」
温かい、ねこはちさんの体温を感じて。
ふわふわの体を、私も抱きしめ返した。
自然と涙が出てくる。
「おかえりなさい、ねこはちさん」
泣きながらそう言うだけで、精一杯だった。
……ねこはちさん。
ずっと淋しかったけれど。
ねこはちさんのおかげで、今はもう淋しくないよ。
ありがとう。
ねこはちさんの夢は。
今回は叶わなかったけれど。
きっと、いつか叶う。
私はそう信じているよ。
だって、ねこはちさんは……。
魔法よりも、もっとずっと強い。
『絆』を持っているネコなんだから。
ーーー完ーーー