ねこはちさん〜魔法を手にしたネコ〜
第二話
小学校。
五年二組。
そろり、そろりと、教室のドアを開ける。
ゆーっくり教室の中に体をすべらせて。
自分の席まで、忍び足で行く。
「こら!寅山さん!!遅刻よ!!」
担任の鳥井先生の高い、怒った声。
背筋を伸ばして、先生のほうを見る。
鳥井先生の横には、ねこはちさんがいた。
「おっ、さっきの」
ねこはちさんが、にっこり笑う。
「あら、猫野くん、寅山さんを知っているの?」
「今朝、会ったんだ」
「そうなの。寅山さん、今日から猫野くんはこのクラスの仲間になります。仲良くしましょうね」
鳥井先生は満足そうな表情で言うと、
「では、1時間目の準備をして待っていてください」
と、教室を出て行った。
教室では。
「なんで猫野くんは人の言葉が話せるの!?」
「どこから来たの!?」
「どうして小学校に通うことになったの!?」
クラスのみんなが、ねこはちさんを取り囲んだ。