ねこはちさん〜魔法を手にしたネコ〜

第四話

「や、約束って、何かしたっけ!?」



小学校を出て。

大通りを歩いている。

私の問いかけにねこはちさんは、
「いや、何もしてねぇけどよー」
と、しれっとした様子で答える。



(……調子狂うんだから)



きっとこれが漫画だったら。

私の頭の上に、ぐちゃぐちゃの落書きみたいな丸が、いっぱい描いてあるはず。

もしくは私の顔の周りに、汗マークがぴょこぴょこ飛んでるように描いてあるのかも。



そんなことを考えつつ、先を歩くねこはちさんの後ろをトボトボ歩いていたら。



「おめぇさん、いっつも元気無いなぁ」



振り返りつつ、ねこはちさんが言う。

何だかその言葉にムッときちゃったんだ。

だから、
「友達がたくさんいるねこはちさんには、わからないよ」
なんて、嫌味を言ってしまった。

じわっと目に涙が溜まる。



(だめ、泣いちゃいそう……)



そう思った瞬間。

目から大粒の涙が、こぼれ落ちた。





< 9 / 25 >

この作品をシェア

pagetop