『絶対言わないでください!』保健室で起きたヒミツ♡の話
シャー…


カーテンを開けたら
天ヶ崎くんが待ってた



「大丈夫?
お水、ここ置くね」



「ありがと」



天ヶ崎くんの手が伸ばされて

手に取ったのは…


水の入ったコップじゃなくて

私の手だった



ドキン…



鳴らさないようにしてた胸が
大きく鳴った



天ヶ崎くんの手から逃げようとするのに
逃げれない



無理にはやっぱり限界があって…



「天ヶ崎くん…?」



カーテンから少し入る光に
天ヶ崎くんの髪が亜麻く透ける



「センセ…
今、オレ…スゲー妬いてる」



天ヶ崎くんの手に
力が入ったのがわかった


もっと動けなくなる


ホントに逃げたいなら
今すぐカーテンの向こうにいる
城田先生を呼べばいいことなのに…



「天ヶ崎くん、お水…」



「キスして…
そしたらすぐ元気になるから…」



カーテンの中で囁かれる
天ヶ崎くんの声



何かあったら困るのは…

わかってるのに



天ヶ崎くんの少しの力で
引き寄せられる



強引とか無理矢理とか
ぜんぜんそんな感じはなくて



むしろ優しく引き寄せる

天ヶ崎くんの手に

天ヶ崎くんの目に



吸い込まれるみたいに…



夢かな…って

男子高校生が考えそうなことを



大人のはずの私は…

先生のはずの私は…



今、しようとしてるのかもしれない



「佐伯先生ー!」



シャー…



城田先生がカーテンを開けた
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