『絶対言わないでください!』保健室で起きたヒミツ♡の話
「佐伯先生、保冷剤ありますか?」



「先生!
どーしました?」



「やー、今日、オレが弁当作る日で
今朝、玉子焼き作ってたらヤケドして…
ヒリヒリして朝から気になって…」



「奥さん、お弁当作ってくれないんですか?」



「ふたりで働いてるから当番制で…
妻がオレの玉子焼きが好きだって言うから…」



妻…

その呼び方、胸に刺さる



先生の作る玉子焼きは
どんな味なんだろう?



きっと今の先生の顔みたいに
甘い気がする



「先生、幸せですか?」



そんなの聞かなくても



「うん、幸せだよ」



先生の顔見たらわかった



「そーですか…
じゃあ、コレ…保冷剤…
自分で冷やしてください」



「佐伯先生?なんか、冷たいですね」



「保冷剤なので…」



「じゃなくて…
保健室の先生って
こーなんて言うか、もっと優しくて…
っていうのが男の理想なんですけど」



「変な期待しないでください!
触れてはいけないものには触れません」



「なんですか?それ」



「宮澤(みやざわ)先生からの教えです
あ、先生、コレ書いてください」



【保健室利用者名簿】



「佐伯先生、ちゃんと仕事してますね」



「当たり前です
仕事しに来てますから!」



[職員 城田 悠人] しろた ゆうと



私が城田になるのかもしれないと
ちょっと思ってたのにな…


今思うと
考えが子供すぎたな



片方に気持ちがないなら
許されるとか許されないとかじゃなくて

成立しない



「生徒だった佐伯が
同僚になるなんてな…ハハ…
あの時は考えてもみなかったな」



私が好きだった先生

城田先生



先生は私が先生の奥さんになるなんて
絶対考えてなかったよね?

なれなかったけど



子供だった私は
そんなこと考えてたんだよ



「佐伯は
きっといい先生になりそうだな」



いい奥さんになりたかったな



「いい先生って
どんな先生ですか?」



「んー…」



「先生、適当に言ってません?」



「ハハ…実はオレもわかんない」



そぉ城田先生は
こんな先生だった



威張ってなくて先生ぽくないところが
好きだった
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