S系外交官は元許嫁を甘くじっくり娶り落とす

「ん、エツ……あっ」
「浴衣は脱がせやすくていいな。色っぽいし」


 彼は耳元で官能的な声で囁くと、私の身体を畳に横たえさせた。浴衣がはだけて露わになった素肌に、唇を這わせていく。

 情欲を滾らせ始める彼にも、身体はすでにその気になっている自分にも、なんとかストップをかけようと試みる。


「待って、美乃莉が」
「ぐっすり寝てるよ」


 そう、わかっている。美乃莉は眠りに落ちてからしばらくは起きないって。でも普段は別の部屋で愛し合っているから、すぐそばにわが子がいると思うと……。

 胸の頂を舌で転がされ、同時に熱く溶けた部分に指を沈められて。甘い声を漏らしながらも、なけなしの理性を総動員する。


「っ……やっぱダメ! 集中できない」


 肩を押して制すると、エツはゆっくり顔を上げた。意外にも不服そうではないところを見ると、きっと私が拒否するのをわかっていて意地悪したのだろう。
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