S系外交官は元許嫁を甘くじっくり娶り落とす
お客様ひとりひとりに見合った、心のこもったおもてなしをする。それは当然として、これまで様々な試みを行い、たくさんの方がまた来たくなる宿にしようと努力してきた。
お着き菓子は老舗和菓子店から日替わりで取り寄せたり、日本各地の日本酒を用意して飲み比べられるようにしたり。貸切風呂は数年前まで完全予約制だったが、一部を予約不要で入れるようにもした。
昭和の頃からの建物だけれど綺麗に保っているし、大正ロマンの風情も感じられる素敵な内装だと思う。もちろん茶房だってイチオシだ。
それでも客足が減っているのは、やはりそれなりの宿泊料がかかることや、ひぐれ屋の存在を知っている人が少なくなってきているのもひとつの要因ではないだろうか。昔から常連だった人が、歳を取って来られなくなってしまったのもあるかもしれない。
リピーターを作るのも、口コミにも限度がある。これまでとは違ったアピールもしたほうがいいと思うんだけどな……。
昨日、例の問題について聞いてからずっと考えているものの、いい解決策は浮かばない。というより、父を納得させるための案が浮かばないのだ。