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(2)
「どうしたの、その顔?」
「ちょっと、コンタクトがズレちゃって」
オフィスに戻った千真は、財田風吹にいきなり真っ赤に腫れ上がった目を指摘された。
風吹は経理部の頼れる姉御肌の先輩だ。部長補佐という役付のため、旭と行動する機会が多く、よくふたりで話をしているのを見かける。羨ましい立ち位置だが、ふたり並んでも釣り合いが取れているので、僻まれることは多くない。どちらかといえば、風吹も憧れの対象に入るほどだ。
千真は、へへ、と苦笑いを浮かべて返事をするも、気が気ではなかった。
駿介に、とんでもないことをしてしまった。そして、それを旭にも見られてしまった。
よく考えなくとも同じ部署なので、もうあと間もなくすれば、ふたりはオフィスに戻ってくるだろう。……帰ってもいいかな。
「……っ、あー」
最悪だ。どうしてあんな子供じみたことをしてしまったのか、自分でも判らない。
駿介に腹が立ったのは事実だが、いくら腹が立ったとはいえ、先輩である。やっていいことと悪いことの区別くらい、すぐにつくはずなのに。
「お疲れさまでーす」
そうして千真が悶々している間にも、時間は過ぎていく。誰かの声に顔を上げれば、旭と駿介が入ってきたところだった。
千真は慌ててパソコンで顔を隠し、デスク上の書類を広げ、電卓を弾いた。
せめて、仕事だけは文句を言われないようにしよう。
小さく心に決めて、なるべく顔を上げないように下を向いて仕事を進めた。
「ちょっと、コンタクトがズレちゃって」
オフィスに戻った千真は、財田風吹にいきなり真っ赤に腫れ上がった目を指摘された。
風吹は経理部の頼れる姉御肌の先輩だ。部長補佐という役付のため、旭と行動する機会が多く、よくふたりで話をしているのを見かける。羨ましい立ち位置だが、ふたり並んでも釣り合いが取れているので、僻まれることは多くない。どちらかといえば、風吹も憧れの対象に入るほどだ。
千真は、へへ、と苦笑いを浮かべて返事をするも、気が気ではなかった。
駿介に、とんでもないことをしてしまった。そして、それを旭にも見られてしまった。
よく考えなくとも同じ部署なので、もうあと間もなくすれば、ふたりはオフィスに戻ってくるだろう。……帰ってもいいかな。
「……っ、あー」
最悪だ。どうしてあんな子供じみたことをしてしまったのか、自分でも判らない。
駿介に腹が立ったのは事実だが、いくら腹が立ったとはいえ、先輩である。やっていいことと悪いことの区別くらい、すぐにつくはずなのに。
「お疲れさまでーす」
そうして千真が悶々している間にも、時間は過ぎていく。誰かの声に顔を上げれば、旭と駿介が入ってきたところだった。
千真は慌ててパソコンで顔を隠し、デスク上の書類を広げ、電卓を弾いた。
せめて、仕事だけは文句を言われないようにしよう。
小さく心に決めて、なるべく顔を上げないように下を向いて仕事を進めた。