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すよすよと眠る千真のあどけない頬に触れ、肩の力が抜ける。
オーキッドはもともと、旭の兄・新が起業した会社である。起業する際の株主が新と旭、それから駿介だった。
起業したとき、駿介は副社長として就任していたのだが、下からの相談が煩わしくなり、そうそうに副社長を辞任して、旭のいる経理部に籍を置いて仕事をするようになった。もともとの能力が高いため、年下とはいえ、開発部や営業部の部長からも頼りにされ相談も受けることが多いので、経理部所属と言いながら、その実、オールマイティーで仕事をしている。
仕事は嫌いじゃない。けれど副社長となると、話は別だ。
好きでもない相手との接待はあるし、部下のいざこざにも首を突っ込まないといけない。
そんな至極面倒なことは、ごめん被りたいのが本音だった。
シーツを捲り、旭からもらった軟膏を塗ってやれば、冷たかったのか、千真はぴくりと反応して薄らと目を開けた。
「……しゅんすけさん?」
「悪い。痛かったか?」
「ううん」
首を横に振るその顔は、まだまどろみの中にいるのか、眠そうだ。
触れるだけのキスを落として、薬を取った手で腹を撫でてやると、千真の眉尻が下がり、涙がこめかみを伝った。
「……ごめんなさい」
「なんで謝る?」
「だって、きれいじゃないから」
「そんなことねーよ」
駿介は千真を安心させるように、優しく口づける。こめかみに伝った涙を掬ってやれば、ふふ、と千真が笑った。
「なんか、優しい駿介さんて、変」
「なんだと?」
少しばかりムッとするが、千真が手を伸ばしてきたので、そんなのはどこかへ吹き飛んだ。夢の中が心地いいのか、こんなに甘えてくる千真は初めてだ。
「でも、もう少しだけ、優しい駿介さんでいてほしいな」
「俺は、いつだって優しいだろ」
「嘘ばっかり」
くす、と笑んだ千真の唇に、そっとキスを落とす。旭と約束したばかりだが、やはり努力だけではどうにもならないこともありそうだ。
角度を変えてキスをすると、どんどん身体の奥が熱を持ってくるのがわかる。
千真も受け入れる姿勢を見せる一方で、それでもまだ夢の中にいるのか、すぐに、すー、と寝息をたてた。
千真を抱き起こしてやり、あますところなくつけられた傷痕に猛り狂いたくなるのを堪えながら、丁寧に薬を塗ってやれば、痛いのかくすぐったいのか、千真が身を捩った。上を向いた千真の唇に啄むように口づけながら、駿介は千真の身体に触れていく。
ときおり、千真の口から漏れる吐息に、ぐ、と下半身を刺激され、けれど旭との約束を思い出し、葛藤の渦の中、やはり欲望に勝てるはずもなく。
薬を塗ったあとでさんざん千真を鳴かせた翌日、案の定、旭から大目玉を食らった。
オーキッドはもともと、旭の兄・新が起業した会社である。起業する際の株主が新と旭、それから駿介だった。
起業したとき、駿介は副社長として就任していたのだが、下からの相談が煩わしくなり、そうそうに副社長を辞任して、旭のいる経理部に籍を置いて仕事をするようになった。もともとの能力が高いため、年下とはいえ、開発部や営業部の部長からも頼りにされ相談も受けることが多いので、経理部所属と言いながら、その実、オールマイティーで仕事をしている。
仕事は嫌いじゃない。けれど副社長となると、話は別だ。
好きでもない相手との接待はあるし、部下のいざこざにも首を突っ込まないといけない。
そんな至極面倒なことは、ごめん被りたいのが本音だった。
シーツを捲り、旭からもらった軟膏を塗ってやれば、冷たかったのか、千真はぴくりと反応して薄らと目を開けた。
「……しゅんすけさん?」
「悪い。痛かったか?」
「ううん」
首を横に振るその顔は、まだまどろみの中にいるのか、眠そうだ。
触れるだけのキスを落として、薬を取った手で腹を撫でてやると、千真の眉尻が下がり、涙がこめかみを伝った。
「……ごめんなさい」
「なんで謝る?」
「だって、きれいじゃないから」
「そんなことねーよ」
駿介は千真を安心させるように、優しく口づける。こめかみに伝った涙を掬ってやれば、ふふ、と千真が笑った。
「なんか、優しい駿介さんて、変」
「なんだと?」
少しばかりムッとするが、千真が手を伸ばしてきたので、そんなのはどこかへ吹き飛んだ。夢の中が心地いいのか、こんなに甘えてくる千真は初めてだ。
「でも、もう少しだけ、優しい駿介さんでいてほしいな」
「俺は、いつだって優しいだろ」
「嘘ばっかり」
くす、と笑んだ千真の唇に、そっとキスを落とす。旭と約束したばかりだが、やはり努力だけではどうにもならないこともありそうだ。
角度を変えてキスをすると、どんどん身体の奥が熱を持ってくるのがわかる。
千真も受け入れる姿勢を見せる一方で、それでもまだ夢の中にいるのか、すぐに、すー、と寝息をたてた。
千真を抱き起こしてやり、あますところなくつけられた傷痕に猛り狂いたくなるのを堪えながら、丁寧に薬を塗ってやれば、痛いのかくすぐったいのか、千真が身を捩った。上を向いた千真の唇に啄むように口づけながら、駿介は千真の身体に触れていく。
ときおり、千真の口から漏れる吐息に、ぐ、と下半身を刺激され、けれど旭との約束を思い出し、葛藤の渦の中、やはり欲望に勝てるはずもなく。
薬を塗ったあとでさんざん千真を鳴かせた翌日、案の定、旭から大目玉を食らった。