幸せのつかみ方
『もしもし?どうしたの?』
女性の声がした。奇麗な声・・・。
「裕太?」
初めて聞く彼女の声。
自分の声が震えそうになるのを堪え、話しかけた。
「あの・・・わたし・・」
「え?」
女性の驚いた声が聞こえた。
「あの・・・那奈さん・・・ですか?」
『あ・・・すみません!』
「待って!!!」
反射的に大きな声で呼び止めてしまった。
「切らないで!お願い!」
「突然ごめんなさい。私、浅倉裕太の・・・・・家族・・・です」
「違うんです。攻めるつもりはないんです」
「今日電話したのは、お伝えしたいことがあっただけで」
無言の那奈さんが通話を切る前に、一方的に早口で話し続けた。
「裕太が事故に合いました」
『え!?事故!?』
声を発していなかった那奈さんが、『事故』と聞いて驚いた声を上げた。
「はい。交通事故です。
大丈夫、無事です。手術はうまくいったのですが、出血が多くて一時は危なかったんです」
「それで・・・」
「見舞いに来ませんか?」
「私が言うのもおかしな話なんですけど、裕太はあなたに逢いたいんじゃないかなって思ったんです」
「死にそうとか、そういうわけではないんですけど、死ぬ前に逢いたいのは那奈さんじゃないかなって思っで・・・あ。死なないですけど」
私は何を言っているのだろう。
冷静に、冷静にと思っていても、頭が回らなくて。自分でしゃべっているのに、何を言っているんだと思ってしまう。
次第に涙が出てきた。
涙は止まることなく溢れてくる。
鼻水も垂れていたが、すすったりしたら泣いていることが伝わってしまう。
涙も鼻水も拭くことなく、私の顔をぐちゃぐちゃにした。
ただ、声だけは、乱れてないように注意して話す。
『・・・・私・・・行けません。浅倉さんには以前お世話になっただけですから。
それに遠いので、お見舞いには行けません。
ご連絡いただいたのに、すみません』
「私・・・裕太が事故をしたと連絡が入った時、死ぬんじゃないかってものすごく怖かったんです。
当たり前のことなんですが、一度しかない人生だから、自分の気持ちを大事にすることが大切なんだと思うんです。
もし、よろしければ、私のことは気にせず裕太に会ってやっていただけませんか?
裕太はきっとあなたに逢いたいと思います。」
無言で私の話を聞いていた那奈さんは、「申し訳ありません」と何度も震える声で謝った。
那奈さんのアドレスに入院している病院の住所を送るから、気がかわったら来てやって下さいと言って通話を切った。
電話を切って、ハンカチで顔を拭った。
最後まで「来る」と言わなかった彼女は、声が震え、泣いていた。
「ひっ・・・ひっく・・・・ぐしゅん」
電話を切った私は、ポケットに携帯を戻した。
「・・・好きなんじゃないの?好きなんじゃないの?」
好きじゃないなら、どうして裕太と会ってたの?
ここで会わないくらいなら、最初から会いに来ないでよ。
「うわああああああん」
怒りと悲しみでぐしゃぐしゃになった心を止めることができず、私は泣くことしかできなかった。
女性の声がした。奇麗な声・・・。
「裕太?」
初めて聞く彼女の声。
自分の声が震えそうになるのを堪え、話しかけた。
「あの・・・わたし・・」
「え?」
女性の驚いた声が聞こえた。
「あの・・・那奈さん・・・ですか?」
『あ・・・すみません!』
「待って!!!」
反射的に大きな声で呼び止めてしまった。
「切らないで!お願い!」
「突然ごめんなさい。私、浅倉裕太の・・・・・家族・・・です」
「違うんです。攻めるつもりはないんです」
「今日電話したのは、お伝えしたいことがあっただけで」
無言の那奈さんが通話を切る前に、一方的に早口で話し続けた。
「裕太が事故に合いました」
『え!?事故!?』
声を発していなかった那奈さんが、『事故』と聞いて驚いた声を上げた。
「はい。交通事故です。
大丈夫、無事です。手術はうまくいったのですが、出血が多くて一時は危なかったんです」
「それで・・・」
「見舞いに来ませんか?」
「私が言うのもおかしな話なんですけど、裕太はあなたに逢いたいんじゃないかなって思ったんです」
「死にそうとか、そういうわけではないんですけど、死ぬ前に逢いたいのは那奈さんじゃないかなって思っで・・・あ。死なないですけど」
私は何を言っているのだろう。
冷静に、冷静にと思っていても、頭が回らなくて。自分でしゃべっているのに、何を言っているんだと思ってしまう。
次第に涙が出てきた。
涙は止まることなく溢れてくる。
鼻水も垂れていたが、すすったりしたら泣いていることが伝わってしまう。
涙も鼻水も拭くことなく、私の顔をぐちゃぐちゃにした。
ただ、声だけは、乱れてないように注意して話す。
『・・・・私・・・行けません。浅倉さんには以前お世話になっただけですから。
それに遠いので、お見舞いには行けません。
ご連絡いただいたのに、すみません』
「私・・・裕太が事故をしたと連絡が入った時、死ぬんじゃないかってものすごく怖かったんです。
当たり前のことなんですが、一度しかない人生だから、自分の気持ちを大事にすることが大切なんだと思うんです。
もし、よろしければ、私のことは気にせず裕太に会ってやっていただけませんか?
裕太はきっとあなたに逢いたいと思います。」
無言で私の話を聞いていた那奈さんは、「申し訳ありません」と何度も震える声で謝った。
那奈さんのアドレスに入院している病院の住所を送るから、気がかわったら来てやって下さいと言って通話を切った。
電話を切って、ハンカチで顔を拭った。
最後まで「来る」と言わなかった彼女は、声が震え、泣いていた。
「ひっ・・・ひっく・・・・ぐしゅん」
電話を切った私は、ポケットに携帯を戻した。
「・・・好きなんじゃないの?好きなんじゃないの?」
好きじゃないなら、どうして裕太と会ってたの?
ここで会わないくらいなら、最初から会いに来ないでよ。
「うわああああああん」
怒りと悲しみでぐしゃぐしゃになった心を止めることができず、私は泣くことしかできなかった。