幸せのつかみ方


玄関の鍵を閉め、灯りを付けた。

樹さんにタクシーで送ってもらった。
樹さんは電気をつけるまで心配してみていてくれる人だから、心配させないように電気をつける。

「・・・ふ・・・うぅ・・・・」

口を手で覆う。
声が・・・泣き声が漏れる。

「ひっ・・・く・・・うぅ・・・」

これでいい。
これでいい。

そう思っても、もう樹さんに会えないのだと思うと涙が溢れてきて止めることができない。

『肉まん』に顔をうずめて声と心を殺した。





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