幸せのつかみ方
「千夏。千夏が書いたその手紙、もう一度よんでみて」
テーブルの上に置いた手紙を再び手にする。
「これ?」
「そう」
と頷き、読むの促される。



「残りの人生、千夏が一緒に過ごしたいと思うのは誰?」


樹さんの顔が浮かんだ。

樹さんから差し伸べられた手を私は自分から離した。
今更・・・。
「遅くないかな?」

「俺も今、千夏に告白したぞ」
「確かに」
「今更遅いって笑うような奴ならこっちから願い下げだって思えばいいよ」

「ふふふ」
「おい、ここで笑うなよ。願い下げるぞ」

「ごめん。だって、裕太とこんな話するなんて思ってもみなかったから」
「まあ、俺も予想外の話の展開だった」
「でしょ」

と二人で笑ってコーヒーを飲んだ。






「恐れずにはっきり言えばいい。
でもって、玉砕してくればいい。
その時は、酒くらいは付き合ってやるよ、元夫婦のよしみとして」

裕太は優しく微笑んだ。

「裕太・・・」
と呟くと、

「正直フラれてしまえって思ってるし。
千夏の良さのわからねぇくそ野郎って言いたいし」
と意地悪な顔を見せる。

「うまくいってもちゃんと報告しろよ。でもって奢ってくれ」
「裕太が奢ってよ」
「まあ、そうか。祝ってやるか」

と笑う。

「幸せになれよ、千夏」
「裕太も幸せになってね」
と言うと、裕太が手を伸ばし、私の頭をポンと撫でた。

「俺、千夏と結婚して良かった。
千夏と家族になって、本当に良かったよ」

「うん。不倫さえしてなきゃいい夫だったと思うよ」
「すみませんでした」
食い地味で深々と頭を下げられた。

「よし!じゃあ、そろそろゴーヤ料理作るか?」
「そうだった。作んなきゃ」
「直幸は遅いなあ」


ピンポーン♪
「ただいまー」

元気良く玄関が空き、直幸が両手いっぱいにビールやジンなどのお酒を持ってきた。





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