幸せのつかみ方
樹さんは目が大きく開かれ、息が止まるほど驚いていた。
「浅倉さん・・・ご主人は?」
と聞かれ、首を振った。
「やり直していません。ごめんなさい、嘘をつきました」
「どうしてそんな嘘を?」
樹さんの目が細くなり、眉間に皺が寄る。
「誰かを好きになるのが恐かった。
でも、どんどん樹さんが私の中で大きくなっていって・・・・恐かった」
ゆっくりと話す私の言葉をしっかりと聞いた樹さんは、
「恐いって、何が恐いの?」
と尋ねた。
「好きだった人に裏切られるのが恐かった。
好きにならなければ、苦しい思いも悲しい思いもしないって思ったんです」
「俺は、ご主人じゃないよ。裏切ったりしない、絶対に」
樹さんの悲しそうな声に何度も頷いた。
「うん。頭では分かってる。でも・・・恐かった。ものすごく怖かった。だって、私には何もないから。
私は・・・樹さんを信じられなかったの・・・ごめんなさい」
俯いて、滲んでくる涙を瞬きで消す。
このタイミングで絶対に泣いちゃダメ。
そう自分に言い聞かせて、手を強く握りしめた。
「今は?今は信じてくれるの、俺の気持ち?」
「うん。信しる。信じても・・・いい?」
顔をあげ、樹さんを見つめた。
「もちろん。俺はずっと千夏さんのことが好きだったんだよ。この気持ちは一生変わらない!自信をもって言えるよ」
樹さんはとろけるような優しい微笑みをした。
「私も。樹さんが好きです。暗闇から救ってくれた樹さんのことが、大好きです」
震える声で、でもしっかりと樹さんに聞こえるように気持ちを伝えた。
「うわあ、俺、今ものすごく嬉しい!」
樹さんがものすごく嬉しそうに笑った。
私はそれが嬉しくてつられて笑った。
樹さんは私の顔をじっと見つめ、ゆっくり私を抱きしめた。
私もそっと樹さんの背中に手をまわした。
ぎゅうううっと抱きしめながら樹さんは囁いた。
「そうやって笑うあなたの隣にいたい。
あなたが涙を流すとき、そばで支えてあげたい。
あなたが好きです。
これからの人生すべて、あなたと一緒にいたい。
あなたにこんなことを言える日が来るなんて思ってもみませんでした。
結婚していただけませんか?」
「えええ!?」
私は驚いて、樹さんの顔を見上げた。
「え?そんなに驚くこと?」
「だって・・・結婚なんて・・・」
目を合わせる。
瞳の奥の感情を推し量ろうとするように、二人は見つめ合った。
「俺は千夏さんと一生一緒にいたいって思ってる」
「樹さん・・・」
「返事は?」
「・・・保留とか・・・できますか?」
「保留?」
「さすがに付き合ってもないのに結婚って言われても・・・」
私は『好きです=(イコール)結婚』に直結することはできない。
好きという自分の気持ちを認めたばかりですぐ再婚するような勇気はない。
樹さんが私に瞳から目を逸らさない。
私も逸らすことなく見つめ返す。
「いいよ。分かった」
樹さんは私の背中をぽんぽんと撫でた。
「俺はそれだけの覚悟で千夏さんと付き合うつもりだって理解してて」
「・・・はい」
「今、俺の中に千夏さんがいてくれることが嬉しい。
俺のこと好きだって言ってくれて嬉しい」
「うん」
「愛してる」
「浅倉さん・・・ご主人は?」
と聞かれ、首を振った。
「やり直していません。ごめんなさい、嘘をつきました」
「どうしてそんな嘘を?」
樹さんの目が細くなり、眉間に皺が寄る。
「誰かを好きになるのが恐かった。
でも、どんどん樹さんが私の中で大きくなっていって・・・・恐かった」
ゆっくりと話す私の言葉をしっかりと聞いた樹さんは、
「恐いって、何が恐いの?」
と尋ねた。
「好きだった人に裏切られるのが恐かった。
好きにならなければ、苦しい思いも悲しい思いもしないって思ったんです」
「俺は、ご主人じゃないよ。裏切ったりしない、絶対に」
樹さんの悲しそうな声に何度も頷いた。
「うん。頭では分かってる。でも・・・恐かった。ものすごく怖かった。だって、私には何もないから。
私は・・・樹さんを信じられなかったの・・・ごめんなさい」
俯いて、滲んでくる涙を瞬きで消す。
このタイミングで絶対に泣いちゃダメ。
そう自分に言い聞かせて、手を強く握りしめた。
「今は?今は信じてくれるの、俺の気持ち?」
「うん。信しる。信じても・・・いい?」
顔をあげ、樹さんを見つめた。
「もちろん。俺はずっと千夏さんのことが好きだったんだよ。この気持ちは一生変わらない!自信をもって言えるよ」
樹さんはとろけるような優しい微笑みをした。
「私も。樹さんが好きです。暗闇から救ってくれた樹さんのことが、大好きです」
震える声で、でもしっかりと樹さんに聞こえるように気持ちを伝えた。
「うわあ、俺、今ものすごく嬉しい!」
樹さんがものすごく嬉しそうに笑った。
私はそれが嬉しくてつられて笑った。
樹さんは私の顔をじっと見つめ、ゆっくり私を抱きしめた。
私もそっと樹さんの背中に手をまわした。
ぎゅうううっと抱きしめながら樹さんは囁いた。
「そうやって笑うあなたの隣にいたい。
あなたが涙を流すとき、そばで支えてあげたい。
あなたが好きです。
これからの人生すべて、あなたと一緒にいたい。
あなたにこんなことを言える日が来るなんて思ってもみませんでした。
結婚していただけませんか?」
「えええ!?」
私は驚いて、樹さんの顔を見上げた。
「え?そんなに驚くこと?」
「だって・・・結婚なんて・・・」
目を合わせる。
瞳の奥の感情を推し量ろうとするように、二人は見つめ合った。
「俺は千夏さんと一生一緒にいたいって思ってる」
「樹さん・・・」
「返事は?」
「・・・保留とか・・・できますか?」
「保留?」
「さすがに付き合ってもないのに結婚って言われても・・・」
私は『好きです=(イコール)結婚』に直結することはできない。
好きという自分の気持ちを認めたばかりですぐ再婚するような勇気はない。
樹さんが私に瞳から目を逸らさない。
私も逸らすことなく見つめ返す。
「いいよ。分かった」
樹さんは私の背中をぽんぽんと撫でた。
「俺はそれだけの覚悟で千夏さんと付き合うつもりだって理解してて」
「・・・はい」
「今、俺の中に千夏さんがいてくれることが嬉しい。
俺のこと好きだって言ってくれて嬉しい」
「うん」
「愛してる」