幸せのつかみ方
ゼロ ~別れと出発~
離婚
裕太に離婚届を渡し、家を出た。
裕太にはずっと好きな人がいた。
その人も裕太が好きなら、私は邪魔ものでしかない。
長年の未練と裕太への愛情は、私が裕太のもとから離れることを躊躇させていた。
一生一緒にいたい。
この人とならずっと幸せに愛し合っていける。
大好きで、大好き同士だと思ったから、裕太と結婚したはずだったのに。
どうしてこうなってしまったのか?
そう何度考えただろう。
ずっと思い悩んだ末、裕太と那奈さんが逢う約束をした年。
私は家を出ようと決めた。
面と向かい合って話し合う勇気がなかったから、日常会話のように離婚届を渡し、家を出た。
これでよかったのだ。
これでいい。
一度しかない人生。
大好きな人と、大切な人と生きなくてどうするんだ。
そう自分自身に言い聞かせて、半月前から用意したアパートに荷物を入れた。
1DKの部屋だったが、一人で暮らす私には充分だ。
仕切られた1階のスペースには植物を植えれるようなスペースが小さいながらもあった。
今日からここが私の家。
頑張って一人で生きて行こう。
不安もある。
でも、これまでだって生きてきた。
これからだって生きていける。
よし。頑張ろう。