幸せのつかみ方
まさか夜景の綺麗で大人デートなレストランに来るとは思ってもみなかった。
こんな素敵なレストランで・・・今更、裕太と食事。
20年前はうらやましかったレストランデート。
裕太が那奈さんと食事していたお店はこんな店だったのだろうか。
今となってはもうどうでもいい。けれど、かつての私は羨ましかった。苦しかった。
当時の気持ちと重なって胸が苦しくなる。
苦い思い出に蓋をするように深呼吸を一つして、注がれた食前酒を一口飲んだ。
甘口でフルーティなスパークリングワインだった。
「おいしい」
そう言って、裕太に向かってにっこりとほほ笑む。
「直幸が汗水流して働いて連れてきてくれたレストランだもの。
しっかり堪能させていただきましょ」
それからは直幸がまだ小さかった時の話をした。
初めて立った時。滑り台から落ちて大変だったこと。母の日に「10枚つづりのお手伝い券」があったのに父の日は「肩たたき券一枚」だったこと。学校で喧嘩して呼び出されたこと。
今となっては大変だったことも全て笑い話になっていた。
1年ぶりに二人だけで会う食事は、思ったほど気まずものではなかった。
そのことが、私自身、意外でもあった。
メインの料理がきた。
裕太が肉で、私が魚料理。
「ありがとうございます」
とスタッフに微笑んで声を掛けた時、その先に見知った顔があった。
こんな素敵なレストランで・・・今更、裕太と食事。
20年前はうらやましかったレストランデート。
裕太が那奈さんと食事していたお店はこんな店だったのだろうか。
今となってはもうどうでもいい。けれど、かつての私は羨ましかった。苦しかった。
当時の気持ちと重なって胸が苦しくなる。
苦い思い出に蓋をするように深呼吸を一つして、注がれた食前酒を一口飲んだ。
甘口でフルーティなスパークリングワインだった。
「おいしい」
そう言って、裕太に向かってにっこりとほほ笑む。
「直幸が汗水流して働いて連れてきてくれたレストランだもの。
しっかり堪能させていただきましょ」
それからは直幸がまだ小さかった時の話をした。
初めて立った時。滑り台から落ちて大変だったこと。母の日に「10枚つづりのお手伝い券」があったのに父の日は「肩たたき券一枚」だったこと。学校で喧嘩して呼び出されたこと。
今となっては大変だったことも全て笑い話になっていた。
1年ぶりに二人だけで会う食事は、思ったほど気まずものではなかった。
そのことが、私自身、意外でもあった。
メインの料理がきた。
裕太が肉で、私が魚料理。
「ありがとうございます」
とスタッフに微笑んで声を掛けた時、その先に見知った顔があった。