幸せのつかみ方
そこにいたのは樹さんだった。

樹さんは小柄な綺麗な女性と二人だった。
ああ。デートですね。と思っていると、女性の方と目が合ってしまった。

やばっ、興味津々な視線を送ってしまったと思い、慌てて彼女さんから樹さんに視線を移すとばっちり目が合ってしまった。慌てて軽く会釈をする。
樹さんは爽やかな微笑みを見せ、ほんの少し会釈してウェイターの後を歩いて行った。

まあ、思いっきりのプライベートだ。これ以上のご挨拶は野暮ってもんだ。



それにしても、デート中の樹さんとばったり会うなんて驚いた。
当たり前だけど、樹さんにだって付き合っている人がいてもおかしくない。
見た目も性格もよくて、仕事もできる。そんな樹さんに彼女がいないわけがない。
・・・一緒にいた人・・・綺麗な方だった。
樹さんも驚いた顔してたな・・・。


誤解・・・したかな・・・。
こんな素敵なレストランで男性と二人きりで食事しているところを見られて、きっと誤解されたに違いない。
離婚してもう独身なんだから、食事しているところを見られてなんの不都合もない。
けれど、よりにもよって裕太と・・・別れた夫といるところを見られるとは・・・運が悪い・・・。


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