幸せのつかみ方


私は昨夜の直幸の言葉を思い出していた。



  「母さんはまだ人生の半分しか生きてないんだよ?
  残りの人生、このまま一人で生きていくなんて言わないでくれよ。」

  「誰か一緒に過ごせる人がいるなら俺だってこんなこと言わないよ」

  「誰もいないんでしょ?それなら、父さんとの復縁、真剣に考えてみてよ」。



結婚した時点で裕太以外の人を好きになるなんて想像すらしていなかった。

当たり前だけど、出会う男性をそういう対象として見ることがなかったし、見られることもなかった。
それが離婚したとたん、コロッと変わって恋愛だ再婚だとは・・・・なれない。


そもそも私がよくても、私を選ぶ人なんているわけがない。

夫の裕太ですら、私に手を出さなくなっていたのに。
女としての魅力のない私を誰が好きになってくれるというのだ?
ばかばかしい。


・・・だから直幸は裕太との復縁を進めてきたのだろうか?
誰もいないんでしょといいたい?


否定したいところだが、否めない。




裕太もこの話を知っているのだろうか?
聞いたからこの前あんなことを言ってきたのか?
裕太にとって私はどんな存在なのだろうか?
相手がいないから一緒にいるような相手?


イライラしかしない。
裕太のことは忘れよう。




目を開けると、天井は薄暗く、オレンジ色の間接照明のライトがボヤっと淡い色を浮かべていた。



これからに人生ずっと一人でいる・・・。




別に一人でいいと思うんだけどな。
気持ちのない結婚生活よりよっぽど一人がいい。




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