幸せのつかみ方
※※※
仕事を終えた私は樹さんの車に乗ってレストランに出かけた。
予約してくれたのはイタリアンレストランだった。
昼間何がいいか尋ねられた私は、イタリアンをお願いしたのだった。
樹さんとカルパッチョを食べる約束をしてからというもの、頭の中がイタリアンだった。しかし樹さんが食べてないのに一人で食べるのは申し訳ないと思い、食べれずにいたのだった。
樹さんも食べていないと言うことだったので、夕食はイタリアンを食べることになった。
車の中で、
「よかった。実は千夏さんと食べたくて。我慢してたんです」
「私もですよ!」
「え?」
「私も『今度一緒に食べましょう』ってお約束したから、食べずにいたんです」
「そうだったんですね。なんだか申し訳ありません。でも・・・嬉しいです」
「そのうち、カルパッチョというより、イタリアン全般が食べたくなってしまってて。
でも樹さんをほったらかして一人で食べるのが申し訳なくなってしまってて」
「え?それは申し訳ない!そんなつもりではなかったのですが」
「分かってますよ。
でも、一人で満足するのが後ろめたくて・・・だんだんマカロニサラダまで食べれなくなちゃってましたよ」
「・・・マカロニサラダはイタリアンに属するんですか?」
樹さんが笑いをこらえるように尋ねた。
「ええ?違うんですか?」
「分からないですけど」
「ええええ。食べればよかった」
少しだけショックを受ける。
「はははは。そんなに気にしてもらえてたとは、嬉しいです」
楽しそうに笑った樹さんはちらりと私を横目で見て、「嬉しいです」と言った。
私はその樹さんの笑顔に驚いてしまった。
なんなんだ、この人!?
こうやって見ると、とてつもなくかっこいい顔をしている。
その上、向けられた笑顔には色気もある。
その笑顔を私に向ける?
ということは周りの人たちにも向けているってことで・・・。
そりゃ、職場の女性陣が彼のかっこよさにキャーキャー言うわけだ。
理由がわかる気がするよ。
今までこの色気に気が付かないまま話していた。
心の中で樹さんに頭を垂れた。
ふと先日、紗良たちが言っていた言葉を思いだした。
「リハビリだと思いなよ」
「樹さんが相手ならぴったりなんじゃない?」
樹さんはかっこいいし、表情も豊かで、優しくて・・・。
さっきの笑顔だってきゅんとかいうやつでしょ?
きっと樹さんはこうやって気付かぬうち周囲の人たちに『トキメキ』をあたえちゃってるんでしょ?
そう思うと、私の凍結した恋愛観(?)のリハビリにはもってこいなんじゃない?
実際に恋愛に発展することはないだろうし。
妄想なら傷つくこともないし。
そうだ!今日は『キュンキュン』を堪能させてもらおう!
わくわくするなあ。
そして、バカなことを考えているなと自分で笑いが出てくる。
「ふふ」
「どうかしましたか?」
「いえ。なんでもないですっ。えっと、レストランが楽しみでつい」
慌ててごまかすと、樹さんは
「僕も楽しみです」
と言った。
仕事を終えた私は樹さんの車に乗ってレストランに出かけた。
予約してくれたのはイタリアンレストランだった。
昼間何がいいか尋ねられた私は、イタリアンをお願いしたのだった。
樹さんとカルパッチョを食べる約束をしてからというもの、頭の中がイタリアンだった。しかし樹さんが食べてないのに一人で食べるのは申し訳ないと思い、食べれずにいたのだった。
樹さんも食べていないと言うことだったので、夕食はイタリアンを食べることになった。
車の中で、
「よかった。実は千夏さんと食べたくて。我慢してたんです」
「私もですよ!」
「え?」
「私も『今度一緒に食べましょう』ってお約束したから、食べずにいたんです」
「そうだったんですね。なんだか申し訳ありません。でも・・・嬉しいです」
「そのうち、カルパッチョというより、イタリアン全般が食べたくなってしまってて。
でも樹さんをほったらかして一人で食べるのが申し訳なくなってしまってて」
「え?それは申し訳ない!そんなつもりではなかったのですが」
「分かってますよ。
でも、一人で満足するのが後ろめたくて・・・だんだんマカロニサラダまで食べれなくなちゃってましたよ」
「・・・マカロニサラダはイタリアンに属するんですか?」
樹さんが笑いをこらえるように尋ねた。
「ええ?違うんですか?」
「分からないですけど」
「ええええ。食べればよかった」
少しだけショックを受ける。
「はははは。そんなに気にしてもらえてたとは、嬉しいです」
楽しそうに笑った樹さんはちらりと私を横目で見て、「嬉しいです」と言った。
私はその樹さんの笑顔に驚いてしまった。
なんなんだ、この人!?
こうやって見ると、とてつもなくかっこいい顔をしている。
その上、向けられた笑顔には色気もある。
その笑顔を私に向ける?
ということは周りの人たちにも向けているってことで・・・。
そりゃ、職場の女性陣が彼のかっこよさにキャーキャー言うわけだ。
理由がわかる気がするよ。
今までこの色気に気が付かないまま話していた。
心の中で樹さんに頭を垂れた。
ふと先日、紗良たちが言っていた言葉を思いだした。
「リハビリだと思いなよ」
「樹さんが相手ならぴったりなんじゃない?」
樹さんはかっこいいし、表情も豊かで、優しくて・・・。
さっきの笑顔だってきゅんとかいうやつでしょ?
きっと樹さんはこうやって気付かぬうち周囲の人たちに『トキメキ』をあたえちゃってるんでしょ?
そう思うと、私の凍結した恋愛観(?)のリハビリにはもってこいなんじゃない?
実際に恋愛に発展することはないだろうし。
妄想なら傷つくこともないし。
そうだ!今日は『キュンキュン』を堪能させてもらおう!
わくわくするなあ。
そして、バカなことを考えているなと自分で笑いが出てくる。
「ふふ」
「どうかしましたか?」
「いえ。なんでもないですっ。えっと、レストランが楽しみでつい」
慌ててごまかすと、樹さんは
「僕も楽しみです」
と言った。