幸せのつかみ方
カチ。
駐車した樹さんは、前を向き直るついでに私のシートベルトをはずした。
おおおおお!ジェントルマン!
キュンポイントだ!
「待ってくださいね」
と言った樹さんは、自分のシートベルトをはずして外へ出た。
ああ。こういうの久しぶりだなあと思った。
予想通り、樹さんはぐるりと回って助手席のドアを開けてくれる。
「この車、車高が低めだから乗り降りが大変なんです」
そういうと、すっと手を出した。
私は樹さんの手に自分の手を置いて、降りるのを手伝ってもらった。
これは女子扱い?キュン?
普通に気遣いとして女性みんなにしてそう。
ここもやっぱりキュンポイントよね?
心がキュンとならなくちゃいけないのに、キュンポイントを探すことに夢中になってしまっていた。
手を置いた樹さんの手は、私よりずっと大きくてごつごつしていた。
きちんと整えられて爪に、骨ばった指先。
「樹さんはきれいな手をしてらっしゃるんですね」
と褒めると、
「そうですか?初めて言われました」
樹さんは繋いでない方の手のひらをじっと見つめた。
「清潔感のある、男の人らしい綺麗な手だなって思いました」
「ありがとうございます。千夏さんはこういう手が好きなんですか?」
え?
美容師さんの手とか、綺麗な手だと思ったことはあるけれど、好きかどうか考えたことはなかった。
「うーん。そうですねー・・・好きかもしれません」
「それならこのまま手を繋いで入ってもいいですか?」
はい?手を繋ぐ?
樹さん、何考えてるんだろう?
「それはちょっと恥ずかしいですよね」
樹さんの下心を警戒して、とりあえず拒否した。
「ははは。恥ずかしいとおっしゃるわりにけろっとした顔をしてますよ」
「いやいや。本気で動揺していますから、ほら」
と言って手を離して両手の掌を見せた。
「手汗」
「かいてます?」
と、樹さんは掌をつついた。
「こしょばゆいです」
と私は手を引っ込めた。
「え?こしょ?こしょ・・・ぐ?」
樹さんがびっくりした顔をする。
「え?こしょばゆいですよ」
「こ。こしょばゆい?」
「はい。こしょばゆい」
「なんですか、それ?」
びっくりしている樹さんにびっくりだ。
「え?言いません?えっとー・・・くすぐったい!」
「ええええ!くすぐったいはこしょばゆいって言うんですか?」
「はい。こしょばいとかも言いません?方言かなあ」
二人で笑いながらレストランへ行く。
駐車した樹さんは、前を向き直るついでに私のシートベルトをはずした。
おおおおお!ジェントルマン!
キュンポイントだ!
「待ってくださいね」
と言った樹さんは、自分のシートベルトをはずして外へ出た。
ああ。こういうの久しぶりだなあと思った。
予想通り、樹さんはぐるりと回って助手席のドアを開けてくれる。
「この車、車高が低めだから乗り降りが大変なんです」
そういうと、すっと手を出した。
私は樹さんの手に自分の手を置いて、降りるのを手伝ってもらった。
これは女子扱い?キュン?
普通に気遣いとして女性みんなにしてそう。
ここもやっぱりキュンポイントよね?
心がキュンとならなくちゃいけないのに、キュンポイントを探すことに夢中になってしまっていた。
手を置いた樹さんの手は、私よりずっと大きくてごつごつしていた。
きちんと整えられて爪に、骨ばった指先。
「樹さんはきれいな手をしてらっしゃるんですね」
と褒めると、
「そうですか?初めて言われました」
樹さんは繋いでない方の手のひらをじっと見つめた。
「清潔感のある、男の人らしい綺麗な手だなって思いました」
「ありがとうございます。千夏さんはこういう手が好きなんですか?」
え?
美容師さんの手とか、綺麗な手だと思ったことはあるけれど、好きかどうか考えたことはなかった。
「うーん。そうですねー・・・好きかもしれません」
「それならこのまま手を繋いで入ってもいいですか?」
はい?手を繋ぐ?
樹さん、何考えてるんだろう?
「それはちょっと恥ずかしいですよね」
樹さんの下心を警戒して、とりあえず拒否した。
「ははは。恥ずかしいとおっしゃるわりにけろっとした顔をしてますよ」
「いやいや。本気で動揺していますから、ほら」
と言って手を離して両手の掌を見せた。
「手汗」
「かいてます?」
と、樹さんは掌をつついた。
「こしょばゆいです」
と私は手を引っ込めた。
「え?こしょ?こしょ・・・ぐ?」
樹さんがびっくりした顔をする。
「え?こしょばゆいですよ」
「こ。こしょばゆい?」
「はい。こしょばゆい」
「なんですか、それ?」
びっくりしている樹さんにびっくりだ。
「え?言いません?えっとー・・・くすぐったい!」
「ええええ!くすぐったいはこしょばゆいって言うんですか?」
「はい。こしょばいとかも言いません?方言かなあ」
二人で笑いながらレストランへ行く。