幸せのつかみ方

深夜0時の訪問者

樹さんお奨めのイタリアンレストランは予想を超えておいしかった。
二人ともお酒は飲まなかったが、そのおいしさと楽しい会話に時がたつのも忘れていた。


気が付いた時には時計は23時になるところだった。


お会計を済ませて、樹さんの車で家まで送ってもらう。
私のアパートは病院からバスで8つ。歩いて30分弱のところにある。

予想通り、お支払いで私はお金を出させてもらえなかった。
「代わりに今度何かごちそうしてください」と言われた。
スマートな言い方をなさるとここでも好印象を持つ。



家の近くのコインパーキングに車を止めて、樹さんは車を降りた。
「大丈夫」
とお断りしたのだが、
「夜遅いから。送らなかったら気になって夜も眠れない」
とごねるのでそこからは歩いて送ってもらうことになった。

< 55 / 124 >

この作品をシェア

pagetop