幸せのつかみ方
「あの1階の左から2番目で・・・」
と指をさす私は固まってしまった。
家の電気がついてるんだけど?
玄関の横にあるキッチンの小窓から光が漏れている。
「千夏さんは電気をつけておく人?」
「い、いいえ・・・・。今の時期は寝る時に消したら、朝つけなくても明るいくらいで・・・って、なんで家に電気ついてるんですか!?」
「シッ」
樹さんは人差し指を口元に立てた。
ごくり。
私は唾を飲み込んだ。
樹さんがドアノブをゆっくりまわした。
カチャとドアが開く音がする。
か、鍵が開いてる!
開かれたドアの隙間から光が漏れる。
その瞬間!
バン!!
樹さんは勢いよくドアを引き、室内に飛び込んだ。
「何している!!??」
と叫ぶ樹さん。
「うわあっっっ、誰っ!!!???」
部屋の真ん中に立っている侵入者は驚いて振り返った。
と同時に、樹さんは侵入者の腕を後ろに練り上げた。
ドタバタという音と3人の声が混ざる。
「いてててて!」
「直幸!!!」
「え!?」
樹さんに腕を掴まれ、膝を付く侵入者は息子だった。