幸せのつかみ方
中華街は多くの人で込み合っていた。
先日のTV番組のせいか、それともこの青天の天気のせいか。
それぞれが思い思いに楽しんでいる様子を眺めた。


あっちもこっちも店頭では大きな蒸籠から湯気が立っている。

どれもこれもおいしそうに見える。

「どれが食べてみたい?」
と樹さんに尋ねられる。
「どれもこれもおいしそうでわかんない。樹さんが食べたいのは?」

「えーと。じゃ、あれは?」
指さす先には、肉まんを食べて「おいしい」とはしゃぐ男の子。
店先のおじさんが、「うまいだろう」と嬉しそうに男の子に話しかけている。

「うん。決定!」
そういって店先に近づいた。



買った肉まんは1個。
別けて食べるならとおじさんは包みをもう1枚くれた。
「気を付けて別けてね。ポロっといっちゃうからね」
と話しかけるおじさんにお礼を言って、店から離れる。

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