幸せのつかみ方
樹さんが包みから出した肉まんは見慣れた肉まんの倍くらい大きかった。
「すっごい大きい」
と笑いながら、樹さんが手で肉まんを半分にする。

湯気がもうもうと出ている肉まんを見て、
「熱くないんですか?」
と尋ねると、
「むちゃくちゃ熱い」
と平然とした顔で言うから、また笑ってしまう。
「いや、ほんとに熱いって」

笑いながら肉まんを半分こにする。
「うわっ。うわ。うわ」
中の具が生地からスポンッと、飛び出してきた。
慌てた樹さんは包みでどうにかキャッチする。。

「あっははははははは!」
生地だけ半分になっちゃって、中の巨大肉団子みたいな具は全く半分になっていない。
半分どころか、つるんとしたまん丸のまま。原型をとどめている。

「熱いっ! わっははっ! 熱いっ! あはは! 熱いって!」
あたふたとする樹さん。
どうにか包みに肉まんを戻した。

「あぶないー!落っことすかと思ったあ!」
「あははははは」

肉まんを包みに戻すことはできたけど、中の具はまん丸のまま。
生地の部分だけが半分になっている。
肉団子は全く別けれていない。

「あははははは! おっかしいいいい!!!」
私はおかしすぎてお腹に手を当てて笑った。

「笑ってるけど、ほんとに熱いんだからね」
と文句を言う樹さんも笑っている。

「「あはははははははは!」」
二人で笑いが止まらないと言いながら笑い続けた。

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