幸せのつかみ方
3年前

幸せな日常

職場に来て忙しく業務に追われ、家に帰って家族のためにご飯を作る。
休日にできていない家事をこなす。
時々息子の部活の試合へ応援に行ったり、買い物に出かける。

高校生の息子と一緒に出掛けることを嫌がられて、寂しいながらも子供の成長を感じ、ほっとする。
夫はソロキャンプを始め、楽しそうに出かけて行く。
「一緒に行きたい」と言えない代わりに、見送る私の胸にチクリと針を落とす。
私は気付かない振りをして、庭の手入れをする。


代り映えのない日常。
いつもと同じ毎日。


これが幸せ。
これが幸せなんだ。




「母さーん、腹減ったー」
リビングの窓から声を掛ける息子に、
「はいはい。もうそんな時間?」
と振り返る。
大人びたと思ったり、子供だと思ったり。
「幸せ」は薄いガラスの上にあるから。
ほんの少しの力で壊れてしまうから。

割れたガラスの上に「幸せ」を組み立てていくのは・・・「不安定な幸せ」でしかないから。


ただ、今は笑おう。
いろんな不安に蓋をして、微笑もう。






平凡な幸せを過ごせる「幸せ」。
そんなある日。
夫が交通事故に合った。



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