幸せのつかみ方
【樹 side】
【樹side】
あの日。
あの屋上で千夏さんが泣いていた。
離婚した千夏さんの心がこれほどまでに傷つけられたままになっていたなんて知らなかった。
無神経にも、肉まんの食べ歩きなんて突き合わせてしまった。
きっと嫌だったと思う。
「今日、樹さんと食べ歩きして、肉まんの想い出がアップデートされました」
千夏さんが言ったこの言葉が嬉しかった。
「はい。肉まんを見たら今日を思い出す。
もう苦しかったことは思い出しません。
思い出しても、そのあとで必ず今日楽しかったことを思い出します。絶対」
そう言って泣いた千夏さん。
俺は千夏さんを幸せにしたいのに。
いつも笑顔でいさせてあげたいのに。
千夏さんの心の傷の深さと、自分自身の不甲斐なさに溜息がでる。
難しいかもしれない。
でも、俺が癒すんだ、絶対に。
ブーーーーン。
スマホの震えが着信を教える。
「はい。千夏さん?」
『お待たせしました。どこに行けばいいですか?』
「迎えに行く。そこにいて」
と通話を切った。
あの日。
あの屋上で千夏さんが泣いていた。
離婚した千夏さんの心がこれほどまでに傷つけられたままになっていたなんて知らなかった。
無神経にも、肉まんの食べ歩きなんて突き合わせてしまった。
きっと嫌だったと思う。
「今日、樹さんと食べ歩きして、肉まんの想い出がアップデートされました」
千夏さんが言ったこの言葉が嬉しかった。
「はい。肉まんを見たら今日を思い出す。
もう苦しかったことは思い出しません。
思い出しても、そのあとで必ず今日楽しかったことを思い出します。絶対」
そう言って泣いた千夏さん。
俺は千夏さんを幸せにしたいのに。
いつも笑顔でいさせてあげたいのに。
千夏さんの心の傷の深さと、自分自身の不甲斐なさに溜息がでる。
難しいかもしれない。
でも、俺が癒すんだ、絶対に。
ブーーーーン。
スマホの震えが着信を教える。
「はい。千夏さん?」
『お待たせしました。どこに行けばいいですか?』
「迎えに行く。そこにいて」
と通話を切った。