幸せのつかみ方
「千夏、クラフトコーラって知ってる?」
「クラフトコーラ?ビールじゃなくて?」

「うん、コーラ」
「知らない。どんなの?」

「なんかさ、自分でコーラ作ったりするキットとかも売っててさ。今度作ってみようと思うんだけど、一緒にやってみない?」
景子はスマホを開いて、ここに来る前に藤井さんと飲んだというクラフトコーラの写真を見せた。

「へー。いいよ、面白そう」
「やった!」

「でも、まずは私も飲んでみたい」
「じゃ、今度一緒にクラフトビール・・・じゃなくてクラフトコーラのお店に行ってみようよ」
「やっぱりビール飲みたいんじゃない」
と笑うと、

「そりゃビールも飲むけど。今はコーラよ。
ね、今度の土曜日とかどう?そのままうちで作ろうよ」
「俺、その日は仕事だからお気になさらず」
と藤井さんも進めてくれる。

「では、お邪魔させていただきます」
ぺこりとお辞儀をすると、藤井さんもぺこりと返した。

「時間とかはまた決めよう。それじゃ、私はここで」
と椅子に置いていた荷物を手に取った。

「え?会ったばっかりじゃない。もう行くの?」
「うん。打ちすぎて腕が痛いし」
右手をぐるぐると回した。

「どんだけ打ったのよ」
と呆れる景子と藤井さんに手を振って、バッティングセンターを後にした。




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