幸せのつかみ方
いつも周囲に気を配り、誰にも優しい。
でも、注意することははっきりと言うし、注意した後も見ていてくれる。
褒める時はしっかり褒める。
上司として憧れていた裕太に、惹かれていって。
いつしか、それは恋愛感情になっていた。



裕太が私の思いにこたえてくれた時、ものすごく幸せだった。
プロポーズされて、一生この人と一緒にいれると思った時は嬉しくて仕方がなかった。


裕太に他に好きな人がいたことを知った時は苦しくて仕方がなかった。
嫉妬して、恨んで、苦しくて・・・・。
でも、嫌いになれなかった。




キキョウを花瓶に生ける。
「かわいい・・・」
膨らんた蕾をつつく。




・・・裕太の気持ちがわからない。

どうしてやり直したいというのか?

好きなのは那奈さんでしょう?
那奈さんが他の人と結婚したから、私と結婚したんでしょう?
那奈さんと別れたから、また私とよりを戻したいの?


違うと言って欲しい。


裕太とやり直す気持ちは全くない。
全くないけれど、また那奈さんの代わりだと思うのは辛過ぎる。
自分の心に黒いフィルターがかかる。
そんな気持ちになる。




裕太は優しいけど・・・ひどい男だよ。



裕太がくれたキキョウはとてもきれいに咲いていた。






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