幸せのつかみ方
現在 <最後>
最後の約束
その週の木曜日。
屋上でお弁当を食べ終わって、景子から送られてきたクラフトコーラのショップのホームページを見ていた。
「お疲れ様」
と優しい声で話しかけられる。
「お疲れ様です」
と声のする方へ目を向けると樹さんが優しい目で見つめていた。
ベンチに座る私の横に座って、
「何を見てたの?」
と尋ねた。
「これ。クラフトコーラ。飲んだことありますか?」
見ていたスマホを樹さんに見えるように向けた。
「へえ。クラフトコーラ・・・手作りのコーラか・・・」
樹さんがスマホを見つめながら、親指を立てて顎を触る。
これは考えてる時の樹さんの癖。
「面白いね」
「でしょ?キットが売ってあって自分でも作れるみたいですよ」
「飲んだことあるの?」
「ない!」
「ふっ。なんで自信満々なの?」
と笑われる。
「えーそう?自信満々ではないんだけどなあ」
と笑った。
「ね、土曜日に飲みに行ってみる?クラフトコーラ」
「え。あの、ごめんなさい。明後日は友人と出かけるから」
「そっか」
と少し寂しそうな眼をしてほほ笑んだ樹さんに、
「この子と」
と指をさした。
「?」
という表情の樹さんに見せているスマホをつついて、景子からもらったクラフトコーラの写真を見せた。
「この子とクラフトコーラ飲みに行く約束してて。それで、そのあと一緒にコーラを作ろうってなってて」
「え。千夏さん作るの?すごい!」
「うん。だから、ごめんなさ・・・」ピロン♪
スマホがLINEのトーク通知を鳴らした。
【明後日 行けなくなった!】
ピロン♪
【急に出張になったの】
ピロン♪
【ごめん! 埋め合わせはまた今度】
ピロン♪
【ごめんスタンプ】
ピロン♪
【よかったらコーラ店行ってみてーおいしかったよ】
ピロン♪
【既読はやいね】
「・・・・・」
「・・・・・」
スマホを見せていたので、どんどん送られてくる景子からのトークを樹さんに見られてしまった。
「ごめん。見てしまった」
とバツが悪そうに樹さんが謝った。
「いえ。見せたの私だから」
と私も苦笑した。
「ね」
「?」
「明後日、クラフトコーラ飲みに行かない?」
「・・・うん」
断る理由がなくなった。
土曜日に約束していた景子との約束がキャンセルになったことは知られている。
再び休日に会う約束をしてしまった。
困ったと思わなくてはいけないのに、私の心が喜んでいることがわかる。
「樹ー」
突然女性の声がした。
樹さんを呼ぶ声に振り返るとそこには白衣を着た葉子さんがいた。
屋上でお弁当を食べ終わって、景子から送られてきたクラフトコーラのショップのホームページを見ていた。
「お疲れ様」
と優しい声で話しかけられる。
「お疲れ様です」
と声のする方へ目を向けると樹さんが優しい目で見つめていた。
ベンチに座る私の横に座って、
「何を見てたの?」
と尋ねた。
「これ。クラフトコーラ。飲んだことありますか?」
見ていたスマホを樹さんに見えるように向けた。
「へえ。クラフトコーラ・・・手作りのコーラか・・・」
樹さんがスマホを見つめながら、親指を立てて顎を触る。
これは考えてる時の樹さんの癖。
「面白いね」
「でしょ?キットが売ってあって自分でも作れるみたいですよ」
「飲んだことあるの?」
「ない!」
「ふっ。なんで自信満々なの?」
と笑われる。
「えーそう?自信満々ではないんだけどなあ」
と笑った。
「ね、土曜日に飲みに行ってみる?クラフトコーラ」
「え。あの、ごめんなさい。明後日は友人と出かけるから」
「そっか」
と少し寂しそうな眼をしてほほ笑んだ樹さんに、
「この子と」
と指をさした。
「?」
という表情の樹さんに見せているスマホをつついて、景子からもらったクラフトコーラの写真を見せた。
「この子とクラフトコーラ飲みに行く約束してて。それで、そのあと一緒にコーラを作ろうってなってて」
「え。千夏さん作るの?すごい!」
「うん。だから、ごめんなさ・・・」ピロン♪
スマホがLINEのトーク通知を鳴らした。
【明後日 行けなくなった!】
ピロン♪
【急に出張になったの】
ピロン♪
【ごめん! 埋め合わせはまた今度】
ピロン♪
【ごめんスタンプ】
ピロン♪
【よかったらコーラ店行ってみてーおいしかったよ】
ピロン♪
【既読はやいね】
「・・・・・」
「・・・・・」
スマホを見せていたので、どんどん送られてくる景子からのトークを樹さんに見られてしまった。
「ごめん。見てしまった」
とバツが悪そうに樹さんが謝った。
「いえ。見せたの私だから」
と私も苦笑した。
「ね」
「?」
「明後日、クラフトコーラ飲みに行かない?」
「・・・うん」
断る理由がなくなった。
土曜日に約束していた景子との約束がキャンセルになったことは知られている。
再び休日に会う約束をしてしまった。
困ったと思わなくてはいけないのに、私の心が喜んでいることがわかる。
「樹ー」
突然女性の声がした。
樹さんを呼ぶ声に振り返るとそこには白衣を着た葉子さんがいた。