幸せのつかみ方
景子から教えてもらったクラフトコーラのお店を樹さんに伝えた。
樹さんは近くまで車で行き、そこから二人で地図アプリを見ながらお店を探す。
スマホの小さい画面を二人で見てはあっちだこっちだと歩いていく。
途中で通った面白そうな古本屋を見つけて
「あとで寄ってもいい?」
と頼むと、
「先に寄ろう」
と入ってみる。
学生時代に読んでいた本を見つけて二人で見せ合う。
同じタイトルの本を読んでいたことに驚き、喜び、笑い合った。
次にショップのガラス越しに並んだ皮のキーホルダーを覗き込んだ。
9色もあるその中からどれが好きかを話す。
「皮って使い始めより使っていく間に色がいい感じに変わっていくでしょ。それ想像して選ぶのが難しい」
と言うと、
「俺は変わった後の色を考えたこともなかったな」
と言った。
「皮製品って好きじゃない?」
「いや。好きだよ。気に入った色と形を買う。
それを丁寧に使っていく間に気が付けば味が出てくるから、それがいい」
「ふうん。なんだかおもしろいね」
「うん。同じものを買うとしても、こんなふうに感覚が違うのっておもしろいね」
「うん」
「それを踏まえて、このキーホルダー何色を選ぶ?」
「えー」
赤、黄色、オレンジ、グリーン、ブルー、ブラウン、ライトブラウン、黒、白。
どれもそれぞれ綺麗な色で悩んでしまう。
「せーので言おうよ」
「え、待って待って。悩んじゃう」
ガラスの中を覗き込んだ。
どれも素敵でなかなか選べない。
うーん。赤かオレンジなんだけどなと思いつつも選べない。
「ねえ、樹さんはもう決めた?」
「まだ」
「よかった。私もまだ」
そう言って樹さんの顔を見た。
樹さんも顔を向けて私を見た。
ドキッ。
樹さんの顔が真横にあった。
樹さんは背中を縮めて、私と同じ高さでガラス窓の中を見ていた。
「ん?」
と優しい目で見つめてくる。
「あ。うん、決めた」
まだ選べなかったのに、動揺してつい決まったと言ってしまった、
「俺も。じゃ、せーのね」
「うん」
「「せーの」」
「赤!」
「オレンジ!」
樹さんは赤、私はオレンジを選んだ。
私が最後まで悩んだ赤を樹さんが選んだっていうことが、なんだか嬉しかった。
「違った」
「違いましたねー」
「でも同じだったら分からなくなるから、違ってちょうどいいよ」
「ポジティブですねー」
「ありがとう」
と言って笑った。
寄り道を堪能して、私たちはクラフトコーラを飲みに行った。
樹さんは近くまで車で行き、そこから二人で地図アプリを見ながらお店を探す。
スマホの小さい画面を二人で見てはあっちだこっちだと歩いていく。
途中で通った面白そうな古本屋を見つけて
「あとで寄ってもいい?」
と頼むと、
「先に寄ろう」
と入ってみる。
学生時代に読んでいた本を見つけて二人で見せ合う。
同じタイトルの本を読んでいたことに驚き、喜び、笑い合った。
次にショップのガラス越しに並んだ皮のキーホルダーを覗き込んだ。
9色もあるその中からどれが好きかを話す。
「皮って使い始めより使っていく間に色がいい感じに変わっていくでしょ。それ想像して選ぶのが難しい」
と言うと、
「俺は変わった後の色を考えたこともなかったな」
と言った。
「皮製品って好きじゃない?」
「いや。好きだよ。気に入った色と形を買う。
それを丁寧に使っていく間に気が付けば味が出てくるから、それがいい」
「ふうん。なんだかおもしろいね」
「うん。同じものを買うとしても、こんなふうに感覚が違うのっておもしろいね」
「うん」
「それを踏まえて、このキーホルダー何色を選ぶ?」
「えー」
赤、黄色、オレンジ、グリーン、ブルー、ブラウン、ライトブラウン、黒、白。
どれもそれぞれ綺麗な色で悩んでしまう。
「せーので言おうよ」
「え、待って待って。悩んじゃう」
ガラスの中を覗き込んだ。
どれも素敵でなかなか選べない。
うーん。赤かオレンジなんだけどなと思いつつも選べない。
「ねえ、樹さんはもう決めた?」
「まだ」
「よかった。私もまだ」
そう言って樹さんの顔を見た。
樹さんも顔を向けて私を見た。
ドキッ。
樹さんの顔が真横にあった。
樹さんは背中を縮めて、私と同じ高さでガラス窓の中を見ていた。
「ん?」
と優しい目で見つめてくる。
「あ。うん、決めた」
まだ選べなかったのに、動揺してつい決まったと言ってしまった、
「俺も。じゃ、せーのね」
「うん」
「「せーの」」
「赤!」
「オレンジ!」
樹さんは赤、私はオレンジを選んだ。
私が最後まで悩んだ赤を樹さんが選んだっていうことが、なんだか嬉しかった。
「違った」
「違いましたねー」
「でも同じだったら分からなくなるから、違ってちょうどいいよ」
「ポジティブですねー」
「ありがとう」
と言って笑った。
寄り道を堪能して、私たちはクラフトコーラを飲みに行った。