変態御曹司の飼い猫はわたしです
4 立つ猫跡を濁さず?!
 カフェに勤めるようになって、私の日常はガラリと変わった。

 まず、家の家事はほとんどハウスキーパーの吉乃さんがしてくれている。お料理は作りたいと言うと、「嬉しい」と喜んでくれた。

 でも、私の負担にならないように、疲れている時は作らなくていいと念押しされている。過保護すぎる。

 朝、一ノ瀬さんと朝食を食べて一緒に出勤、十五時まで勤めた後は、運転手さんが迎えに来てくれる。過保護だと断ったが、一人で電車に乗るのは、決して許してくれなかった。

 そして家で夕飯を作って待ち、一ノ瀬さんが帰宅後に一緒に食べる。二人での食卓は、一ノ瀬さんが食材の輸入事情を講義してくれたり、私がレシピを説明したり、一日のうちで最も楽しみな時間だ。

 カフェと料理との両立はとても楽しくて、毎日が充実していた。

 だが、一ノ瀬さんは、夕食後に書斎で仕事を片付けていることがほとんどなので、もしかしたら無理して早く帰宅してくれているのかもしれなかった。
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